アナと雪の女王からカットされた曲、”More than just a spare(「ただのスペアじゃない」)”日本語訳
アナと雪の女王の、本編からは削除された曲をちまちま訳し続けてゆきます。
この曲は、初期段階ではエルサがheir(エア:正当後継者)でアナがそのspare(スペア)として扱われていたことに関する、細かい描写があったことを示すものです。
実際、完成品の映画本編を見ると、エルサの緻密な人物描写に対して、歌やセリフによりアナの内面描写が途中からがらっと減り、中盤からのアナの行動に共感できるかどうかは、序盤のアナが歌うシーンや、映像自体、映画自体の力に任されていることがよくわかります。もともとはアナとエルサの関係性の描写により時間が割かれていたようです。
(自分個人は、序盤の諸シーン、細かい表情の動きなどから、十分に2人の関係は描写されており、またアナの行動にいまいち完全には共感できない箇所があったとしても、それはそれでアナと雪の女王の強みになっていると思います。)
エア―スペア、にはじまり、古典的に韻がたくさん踏んであってたのしい曲です。日本語でうまく言葉遊びのように訳出できればよかったのですけど、そうもできないので、あるていどルビを振ってみました。
More Than Just A Spare (Outtake) Frozen Lyric Video ...
More than just a spare
「ただのスペアじゃない」
アナ;スペア…? わたしはただのスペアなの?
わたしは町の仲間じゃない 女王に生まれてもない
その中間の無力な誰かさんにすぎない
彼女は先生、スポーツ選手、詩人
わたしはめちゃくちゃな子 知っている
でも誰がそもそもわたしとみんなを比べるだろう
みんなはもちろんわたしがただのスペアだと思ってる
まあ…別にいいけど…。
そう、わたしはコートのおまけのボタン
どれかボタンが緩んだときのための
でもボタンにならなくちゃならないとして
なんで使い道のないボタンでいなくちゃいけないの?(おっと!)
ダサいかもしれないし 優美さも足りないかもしれないわ
ときどき顔面からべしゃっとコケたりもする
でもこの小さなボタンは空にふさわしい居場所があるのよ
このボタンだって空を飛びたい!
待って待って、ボタンは空飛んだりしないわよね、これじゃ意味がわかんないわ
それじゃわたしはサビた蹄鉄
誰かの古い納屋の上に吊るされてる(註:たしかお守りとして、蹄鉄を納屋に吊るす習慣があった)
そこにずっとかけられっぱなし
馬に足がもう一本あったらなあ とただ願うだけ
わたしは完璧な蹄鉄じゃあないとおもうけど
おふざけに夢中でヘマもするけど
蹄鉄にはどこかへと駆けてゆくためのチャンスが必要なのよ
この蹄鉄はただのスペアじゃないわ!
いつかわたしも見つけるわ
わたし自身のなにかを
それでわたしもなにかの役に立つ一部になれるの
一人ぼっちは終わり
この胸のうちのわたしの気持ちがもしも
誰かにとって何か意味があるものになるなら! ああどれほどわたしがみんなの中で役目を果たしたいか!
そう、わたしはただの二人目の娘
町のほとんど誰も気づきもしない
ボタンのように、蹄鉄のように
こういうたとえ話がニガテな女の子のように
わたしには魔法のひと触れなんてないかもしれないわ
かわりの才能だってないかもしれないわ
ただこの心には分かり合えないほどのたくさんのものがあるのよ
そう、わたしは跡継ぎにはなれないわ でもただのスペアじゃあないのよ